2022年08月11日
貴方へ(延岡ショートストーリー・フィクションです)
私は今年もこの場所に立っている
川の流れに添って
川のど真ん中で
あの人を待つ
『毎年、ここで一緒に鮎を食べよう』
耳打ちされた、遠い記憶を辿って・・・。
江戸時代から続く
大瀬川にかかる鮎ヤナを
毎年一度、見に来ていた。
ある時期から
簗を見ることができるよう
川の端から端に
歩行できる道ができた。
珍しい事が好きな私は
鮎の気分になれるよぅで
この場所に立つことが好きになっていた
西を向けば
山肌から流れ落ちた一滴が
かたまりとなって集まり
東を向けば
広い海へと繋がる道
そこに幼い頃からみた紅白の煙突
(あぁ、ここが故郷だ)と、感じられる場所。
10年前
橋が初めてできたあの日
カメラを抱えたあの人と巡りあった。
昔懐かしい雰囲気を纏った、私より頭ひとつ、飛び抜けて背が高いその人は
延岡の歴史に詳しかった。
興味本位な私と違って。
連絡先も聞かなかったが
市内在住
狭いと言われる延岡
そのうち会えるだろぅとたかをくくっていた
ある時
増水で橋を渡ることが出来なかった
ある年
『好き』と言われた
けれど
私は答えることが出来なかった
自分に
自分が置かれた家庭環境に自信が持てない。
でも
捨てられない
なのにあぁ。今年も足を向けてしまう。
あの、川真ん中の[故郷]を見に。
『カシャン』
あの懐かしい靴音が近づいてくる
あと何年、話すことができるだろう
今日も快晴。
一滴の想いは
海へと流れ行く
*******
延岡水郷鮎やな
300年以上続く延岡水郷鮎やなは延岡に秋を告げる風物詩となっています。
市街地に架設される鮎やなは全国的に珍しく、さらに100メートルを超える川幅への架設は国内最大級の規模を誇ります。
また、川原で鮎を焼く風景は環境省が選定する「日本かおり風景百選」に選ばれています
(延岡市役所ホームページより抜粋)
川の流れに添って
川のど真ん中で
あの人を待つ
『毎年、ここで一緒に鮎を食べよう』
耳打ちされた、遠い記憶を辿って・・・。
江戸時代から続く
大瀬川にかかる鮎ヤナを
毎年一度、見に来ていた。
ある時期から
簗を見ることができるよう
川の端から端に
歩行できる道ができた。
珍しい事が好きな私は
鮎の気分になれるよぅで
この場所に立つことが好きになっていた
西を向けば
山肌から流れ落ちた一滴が
かたまりとなって集まり
東を向けば
広い海へと繋がる道
そこに幼い頃からみた紅白の煙突
(あぁ、ここが故郷だ)と、感じられる場所。
10年前
橋が初めてできたあの日
カメラを抱えたあの人と巡りあった。
昔懐かしい雰囲気を纏った、私より頭ひとつ、飛び抜けて背が高いその人は
延岡の歴史に詳しかった。
興味本位な私と違って。
連絡先も聞かなかったが
市内在住
狭いと言われる延岡
そのうち会えるだろぅとたかをくくっていた
ある時
増水で橋を渡ることが出来なかった
ある年
『好き』と言われた
けれど
私は答えることが出来なかった
自分に
自分が置かれた家庭環境に自信が持てない。
でも
捨てられない
なのにあぁ。今年も足を向けてしまう。
あの、川真ん中の[故郷]を見に。
『カシャン』
あの懐かしい靴音が近づいてくる
あと何年、話すことができるだろう
今日も快晴。
一滴の想いは
海へと流れ行く
*******
延岡水郷鮎やな
300年以上続く延岡水郷鮎やなは延岡に秋を告げる風物詩となっています。
市街地に架設される鮎やなは全国的に珍しく、さらに100メートルを超える川幅への架設は国内最大級の規模を誇ります。
また、川原で鮎を焼く風景は環境省が選定する「日本かおり風景百選」に選ばれています
(延岡市役所ホームページより抜粋)
Posted by ayaori at 03:23│Comments(0)