2021年11月24日

くまさんの背中

建物を見るのが好きなあたしは
今日、歴史的建造物である、青空医院に来ている

すでに閉院されているが
何年かに一度
建物内部を見せて貰えるからだ

カメラ小僧みたいに写メまくるあたしの隣で
キレイなお姉さんが一眼レフを構える姿はかっこいい!
いつかあたしもああなりたいと思う。

受付横でオルガンに似た、何とも言えない穏やかな曲が弾かれ
建物と同化する。

さっさと帰ればよいものを
あたしは
いや、あたしらは待っていた。

コーヒーショップのワゴン車
なかなか来ないねぇ~。

そんな会話を数人とし、
やっときたワゴン車のオープン手伝いをする、

あとはコーヒーができるまで待つ

ふっと、
再度診察室だった場所に足を向けた

入ってきたのは
革靴をはいた、背が高い男性

マスクをして
目が隠れそうになるほどの前髪

あたしは
『あ』

と、気づいた。



前日
海町通りのお祭りに
インタビューに来ていたADさんだ!

なぜわかったか
そのなかに知り合いがいて
声をかけられていたから。

あたしは、人の顔を覚えるのは、ちょー苦手だけど。

だから、洋服で覚えようとする、変な癖があって
彼の上着に見覚えがあったのだ。


つい、興味を持った。
見ていると、入っちゃいけない線引きされているところに足を踏み込んだではないか!


「入っちゃいけないんですよー
でも、見たいですねぇ

足のサイズが大きいですね。」


自分で、何をゆってんだ?

と、思いながら
次々と口をついてつらつら言葉がでてくる。
まるで、昔から知ってる人みたいに。

「あの窓の向こうに、素敵な庭があるけど、入れないんですって」
彼は一言『見たかったですね』

と、低い声で言った。

しばらくすると彼は人目を気にするようにその場から立ち去った。


あたしは(コーヒーできてるかな♪)と
ワゴン車に戻る。

と、

待っていた誰よりも先に
右のでっかい手には、紙コップに入れられたコーヒー。

その彼に
またあたしは要らんことを言ってしまぅ。


「え
私たち、開店準備を手伝って
待ってたんですけど。一番ですか」

彼は気まずそぅに『あ・・・そうだったんですか、すいません』と。

その後あたしもコーヒーを受け取ろり
振り向くと

4メートル先

コーヒーをこぼさないように
歩く背中が見えた。


まるで、くまさんの背中。

広い背中に、ちいちゃな、紙コップ。


森へ、帰ります~スタこらさっさ
あたしはそのまま、見えなくなるまで
後ろ姿を見送るしかなかった。。









それが、元からあった赤い糸なのかはわからない。

その糸は
すれ違い
絡み合い


彼も
あたしも
様々なことがあり、
乗り越え


10年後に再会する




長い長い恋の物語。







Posted by ayaori at 22:25│Comments(0)
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